パックフィッシャー、それは、一本のモバイルロッドに全てを託した至高の釣り人。愛用のトラギアを片手に、日本全国、いや世界を釣って回ります。目指すはモバイルロッドの釣り図鑑?身近な水辺で繰り広げられる、ポケモンGOさながらの冒険をお楽しみください。
鯉のビール煮はキリスト教の聖なる料理
中央ヨーロッパから東ヨーロッパにかけての内陸部には、古くから鯉を食べる習慣があります。なかでもチェコにはクリスマスに鯉を食べる文化があり、その所以は「24の日に肉を食べてはならない」というキリスト教の謂れにあるとされています。
フライやソテーなど、チェコでの鯉の食べ方は実に様々なのですが、広場の屋台でひときわ人目を引くのがビール煮。ニンジンやジャガイモなどの根菜とともに、ソテーにした鯉をそのままビールで煮込んでいただきます。
更に、チェコの文化が起源なのかは分かりませんが、中国の桂林にも鯉をビールで煮る習慣がありました。桂林といえば、山水画のようなカルスト地形で有名な、中国随一の観光地。
一説によると、80年代に阳朔という川辺の小鎮の食堂が観光客向けに鯉のビール煮を提供したのが始まりだといわれています。
油で炒めてからビールで煮る、という基本的な作り方はチェコも桂林も同じなのですが、使う調味料は当然違い、桂林バージョンは中華テイストが強くなります。
今回は前回の水煮魚で使った中華食材が余っていることもあり、桂林バージョンで鯉のビール煮を作ることにしました。
いわゆる「阳朔啤酒鱼」というやつです。
鯉のビール煮を作るにあたり、必要な材料はこちらです。
鯉、トマト、ピーマン、パクチー、ショウガ、ニンニク、唐辛子、ビール、塩、醤油、酢、鶏がらスープの素、胡椒、五香粉、油
トマト以外の野菜は好みに合わせて自由に選んでください。現地ではセロリを入れることもあるようです。
まず、唐辛子、ニンニク、ショウガを軽く炒めます。香りが出てきたら、鯉の鱗側を背にして炒めましょう。
2-3分ほどして皮が黄金色になったら、身に塩を塗って、トマトとピーマンを投入。
具が油に馴染んだら、鯉を裏返しにしてください。
裏面も同様に2-3分ほど炒めたら、ビールを一気に注ぎます。泡は出ますが、爆発するようなことは無いのでご安心ください。
ビールが煮立ったら、こんどは醤油、酢、鶏がらスープの素で味を調整します。本場ではウスターソースなども使うみたいでが、無くても十分美味しくできます。
スープが整ったら、そのまま暫く煮込みます。チェコ流では根菜とともに1時間ほど煮込むようですが、桂林バージョンでは鯉に火が通ればOK。切り身なら5分から10分が目安です。
煮込みが終わったら、胡椒と五香粉で味を引き立たせます。
あとはパクチーやバジルなど、好みの葉物をのせたら完成です。
特筆すべきはこのスープ。トマトの酸味とビールのコクが絶妙にマッチしていて、やみつきになる美味しさです。
金目川の鯉はもともと無臭なのですが、ビール煮なら川魚特有のクセも消せてしまいます。
鯉に限らず、草魚や鮒、鱒や大きなウグイでも試す価値がありそうです。