東伊豆/伊東・宇佐美港のライトなフカセ釣り 外向きテトラでメジナを狙うも

パックフィッシャー、それは、一本のモバイルロッドに全てを託した至高の釣り人。愛用のトラギアを片手に、日本全国、いや世界を釣って回ります。目指すはモバイルロッドの釣り図鑑?身近な水辺で繰り広げられる、ポケモンGOさながらの冒険をお楽しみください。

フカセ釣りは自己研鑽の道

フカセ釣りの醍醐味。それはズバリ、自己研鑽の道であるということ。

フカセ師は海と対峙するなかで、一尾でも多くの釣果を得るために変化する潮を見極め、絶えず攻め方を変えている。そしてその結果を毎釣ごとに反省し、腕を磨いている。フカセ釣りはいわば海の道場なのだ。

また、フカセ釣りでは一瞬の焦りや気のゆるみが思わぬ損失に繋がるため、常にセルフコントロールを意識する必要がある。せっかちな筆者もかつてはよく早く釣りたいがために一度に沢山の荷物を持って柄杓をロストしたり、スマホを見ながら釣りをしてウキをロストしたりしていた。

なので日頃はせっかちば筆者もフカセ釣りの際は一つ一つの動作を丁寧に行うことを心掛けている。クリアすべきことが多いからこそ、踏めるステップも多いのが魅力の釣りだ。

と、いうわけで僕は今日も自己研鑽の釣行へ。向かったのは静岡県伊東市の宇佐美港。広いゴロタと漁港のテトラは伊豆定番のフカセポイント。果たして釣果はいかに……

2月12日 宇佐美港 中潮
干潮 00:44 13:01
満潮 07:22 18:50

13:52 (GMT+9)

今日は熱海を越えて宇佐美港にやってきた。昨日までの寒さが嘘のような温かい一日となり、気温は16度まで上昇。しかし、春の気配を素直に喜べないのがフカセ師というもの。理由は南風。相模湾や伊豆の多くのポイントでは、南風が吹くとどうしても向かい風になり、釣り辛くなることが多い。この日の宇佐美も南西の風がやや強く、角度によってはかなり釣り辛い状況だった。頭上には南からの暖かく湿った風が作る春の雲。このまま暖かくなってしまうのか。

13:57 (GMT+9)

この大堤防をまっすぐ進むと、前回投げ釣りで大きなカワハギを仕留めたポイントに辿り着く。しかし先端ではまともに風を受けてしまうため、今日は中ほどで竿を出すことに。中ほどとはいえ大型メジナの実績場で、夕マヅメには40オーバーも期待できる好ポイントだ。

▼参考記事
【釣行記】東伊豆/伊東・宇佐美港の投げ釣り 投げで狙う真冬の大判カワハギ編

14:36 (GMT+9)

堤防からテトラポッドを数段降りると、堤防が風をさえぎり無風状態に。これなら軽い棒ウキでも飛ばせるだろう。竿はいつもと同じトラギア・ティップトップS906ML。ミディアムライトなのでよくしなり、竿を立てると磯竿のようにも使えるのが魅力。そしてコマセ用バッカンにはひも付きの水くみバケツを採用。折りたためて、しかもその場で海水に漬けて洗えるので普通のバッカンよりも便利です。

今日の釣り餌
コマセ:冷凍アミエビ1kg+V9グレ1kg
刺し餌:オキアミ 生イキ君L

14:37 (GMT+9)

ウキはテトラからやや飛ばすことを考慮して5Bの棒ウキを選択。サルカンの上に5Bのガン玉を、更に仕掛けが馴染むよう1ヒロとったハリスの真ん中に4Gのガン玉を打つことにした。ハリはサシアミグレ1号。魚の少ないこの時期の釣りを極力楽しむため、小バリで掛かる魚の対象範囲を広げることにした。キャッチャーミットは広く、浅く。しかしこの戦略が思わぬ仇となってしまう……

14:41 (GMT+9)

波間に漂う棒ウキ。柄杓でコマセを撒き、魚を寄せるもアタリなくエサが取られるのみ。タナを浅くして流してみるも結果は同じ。結局アタリの出ないウキを眺めてかなり時間を無駄にしてしまった。ウキにアタリが出ないということは、ハリについたエサが魚に取られやすい状況になっている。原因はハリ?もしかすると、釣る魚のキャッチャーミットを広げるために使っている小バリのホールドが悪いのかもしれない。と、ここでハリをサシアミグレ1号から通常のグレバリ4号に変更。するとたちまちウキにアタリが出るように。変えなければ危うく釣行を台無しにするところだった。

16:06 (GMT+9)

暫くウキを流していると、目の前に渦のような潮の変化が出現。これはチャンスと思いコマセを打つと、案の定ウキが勢い良く消し込んだ。手首を返す鋭いアワセを入れると、魚は左右上下に大暴れ。一瞬竿をのされかけるも、何とか竿を立ててリールを巻く。すると海中からは丸々太った#42 イスズミが現れた。タモが無いので強引に抜き上げるも無事キャッチ。このイスズミという魚、実は釣り上げられた瞬間にウ〇コを漏らすことで有名。今回も写真を撮ろうと持ち上げた瞬間にブリブリと大量の糞を撒かれてしまった。鰭に毒のある魚、口の中で稚魚を育てる魚、性転換する魚、そして釣り上げられるとウ〇コを漏らす魚と、関東近郊の海は意外にもユニークな顔ぶれが多い。面白いと思いませんか?

16:13 (GMT+9)

イスズミの次に釣れたのはハンディーサイズの#43 ウミタナゴ。おちょぼ口のかわいらしい姿が女性や子どもに人気の魚種。胎内で卵を孵化させ、稚魚を生むという特徴を持つことから東北地方では安産祈願のために食べられるらしい。宇佐美の海はキャラが濃い。

16:25 (GMT+9)

やがて潮の変化とともにエサが中途半端にかじられることが多くなってしまう。魚の食い上げが悪くなったと判断し、2ヒロ半までタナを下げてみることに。フカセ釣りでは状況に応じた仕掛けの微調整が必須で、読みを当てて魚を釣り上げたときの喜びは大きい。

16:33 (GMT+9)

深ダナを攻めると、今度はウキがじわじわと沈むアタリ。合わせてみると、どこか覚えのある、頭を振るようなやる気のない引き。上がってきたのは案の定ササノハベラだった。この魚、時期を問わず波打ち際で簡単に捕獲できてしまうので、昔は相当貴重な獲物だったのでは?ササノハベラと人との関わりを考古学的に研究してみたら新たな発見があるかもしれない。

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17:04 (GMT+9)

やがてまたエサを取られるようになってしまったので、ウキを前回の真鶴釣行で購入した睡蓮2Bに変更。高感度なので、僅かなアタリをすかさず合わせるシビアな釣りにおすすめの棒ウキだ。

17:12 (GMT+9)

ウキを変えた途端、トップがわずかに沈む微小なアタリが連発。ウキを凝視し、トップがわずかに動いた瞬間アワセを入れるとやや大きめのウミタナゴがヒット。口が小さいため、どうやら器用にエサを取れるよう。この後、ウミタナゴを3尾追加。結局この日は納竿まで本命メジナを釣ることはできなかった。毎投ごとにグレのアタリが出る真鶴の漁港はやはり特殊なのだろうか……

追記
帰宅後、釣ったイスズミを塩焼きにして食べたら想像以上の絶品。臭みがあり、まずい魚の代名詞のように言われるイスズミだが、メジナより断然美味しいように思えた。調べてみると、藻類を主食とする冬季のみ美味しくなるらしい。是非一度持ち帰って食べてみることをおすすめします。

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神奈川/真鶴半島・福浦漁港のライトなフカセ釣り 爆寄せグレ編

この記事を書いた人

パックフィッシャー、それは、一本のモバイルロッドに全てを託した至高の釣り人。三浦、湘南、伊豆、沼津をフィールドに、コンパクトな釣りを綴っています。