チャールズ皇太子の私邸 ハイグローヴハウスとオーガニックガーデンの話

現在王位継承順位第一位のチャールズ皇太子の私邸といえば、コッツウォルズのほど近くに位置するハイグローヴ邸。その広い敷地にはチャールズ皇太子が公務の傍ら長い年月をかけて作り上げてきたというイングリッシュ・ガーデンが併設されています。

園芸大国イギリスにおいて、居城に広いイングリッシュガーデンが併設されているのは珍しいことではありませんが、ハイグローヴの庭はチャールズ皇太子のオーガニックへのこだわりが色濃く反映されているという点で、イギリスの庭の中でも特異な存在なのではないでしょうか。


自然との調和と生態系の保護を目指したというハイグローヴの庭では、多くの植物がより自然な形で植栽されています。

なかでもthe Wildflower Meadowと呼ばれる一角では、かわいらしい野花の見事な調和を見ることができます。


そして邸宅前の白藤の木は、チャールズ皇太子のお気に入りなんだとか。

我々日本人にとって直立した藤の木は馴染みが薄いと思うのですが、直立する品種なのか、それとも棚で仕立てなければ直立するのかが気になるところです。


ちなみに今でこそ定着しつつあるオーガニックスタイルの庭も、チャールズ皇太子が造園を始めた1980年代には全く一般的でなく、相当な変人扱いを受けたそうです。それが今では高い評価を得ているのですから、彼がフロンティアだったといっても過言ではないでしょう。

日本ではかのカミラゲート事件など、スキャンダルのイメージが強いチャールズ皇太子ですが、園芸界ではカリスマ中のカリスマなのです。

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実業家として

ちなみに、チャールズ皇太子はオーガニック食品のブランド「ハイグローヴ」の創設者でもあります。「ハイグローヴ」では皇太子自らブランディングした有機栽培の紅茶やジャム、ハイグローヴ邸併設のオーガニックガーデンで栽培した小麦を使ったビスケットなどを販売。

日本には日本橋三越に海外唯一の直営店舗があり、今上天皇の即位式で日本を訪れたチャールズ皇太子が立ち寄ったことが話題になりました。


こうして日々世界にオーガニックの魅力を発信するチャールズ皇太子ですが、もちろんゆくゆくはイギリス国王になられる方です。イギリス国王の世界的影響力は絶大ですから、イデオロギーの対立や行き過ぎた資本主義が懸念される現代社会にまた違った角度から影響を与えられる存在になるのかもしれません。

そして彼もそうありたいと願っているはずです。

この記事を書いた人

『TRANS JOURNAL』編集者。神奈川県出身。京都外国語大学外国語学部卒。在学中に中国・上海師範大学に留学。卒業後は製紙会社などに勤務。なお、ここでの専門はイギリス。パンと白米があまり好きではなく、2020年にじゃがいもを主食とする生活を目指すも挫折する。