東京に住むなら小田急線沿線をおすすめする理由 複々線開通効果はいかに

放射状に鉄道路線の伸びる首都圏では、自社の路線に人を呼び込むため、各鉄道会社がしのぎを削っているのをご存知でしょうか。

高級感を売りにアッパー層を誘引している会社や、沿線の観光地を大々的に売りに出す会社、駅や車両をお洒落に改装して話題を呼ぼうとしている会社や、お笑い芸人を起用してイメージ戦略に出る会社まで・・・その戦略はじつにさまざま。

人口減少の未来が見える中、各社が陣を構えて熾烈な囲い込みを繰り広げはじめていることから、首都圏の鉄道はまさに戦国時代に突入したといえるでしょう。

そんな群雄割拠する首都圏で、近年涙ぐましい輸送改善と観光開発で覇権を狙い、とてつもない勢いで勃興してきた鉄道会社が存在します。

その名は小田急電鉄


今回は小田急沿線で生まれ育った筆者が、その涙ぐましい努力をたたえ、小田急沿線に住むメリットを客観的に洗い出してみました。

これから首都圏に移住されるという方は小田急沿線を検討してみてはいかがでしょう。

複々線で快適通勤

2018年3月、小田急電鉄が構想から50年もの歳月をかけて建設した複々線(登戸-代々木上原間)が全通しました。

それまでは需要にインフラが追い付いておらず、「混んでいて遅い」という鉄道として最悪のレッテルを貼られていた小田急線。それが複々線開通による大増発で、現在では首都圏で最も快適な路線のうちの一つに数えられるまでになりました。

速くて快適なのはもちろんのこと、複々線を活用して様々な種別の列車を走らせているのも小田急線の魅力。

朝ラッシュ時の上り特急ロマンスカーや、乗客の遠近分離を目的とした快速急行、都内区間の利便性を重視した準急など、痒いところに手が届くダイヤ設定になっています。

詳しくは、鉄道系YouTuberのスーツさんが解説動画をアップロードされていますので、こちらも合わせてご覧ください。

地下鉄千代田線直通

小田急線の起点は新宿駅ですが、代々木上原から地下鉄千代田線に直通する列車も終日に渡り多数運行されています。

これはすなわち、小田急沿線に住んでいれば原宿、表参道といった日本のカルチャーの中心地、国会議事堂前、霞ヶ関などの政治・行政の中心地、更には大手町などのビジネスの中心地にダイレクトにアクセスできるということ。

特筆すべきはあの特急ロマンスカーまで千代田線に乗り入れてる点で、全席指定制の快適な列車で日本の中枢に乗りつけるという芸当までできてしまいます。

東京でより感度の高い生活を望むなら、千代田線直通列車の停まる駅を選ぶといいかもしれません。

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運賃が安い

小田急線は儲かっているからか、他社線と比べ運賃が安めに設定されているのも魅力です。

特に競合しているJRとの差は著しく、

新宿-小田原 [小田急900円:JR1,520円]
新宿-海老名 [小田急510円:相鉄JR直通890円]
新宿-藤 沢 [小田急600円:JR990円]

とかなりの差が開いているのが現実です。これはJRが国鉄時代の借金と地方の赤字ローカル線を抱えているため。地方の為ならわかりますが、かつて国が野放しにしていた無駄遣いのために高いお金を払うのはいやですよね。

移動での無駄な出費を避けたいなら小田急線か、もしくは東急線、京王線などの運賃水準の安い私鉄沿線を選ぶことを強くおすすめします。

本数が多い

複々線の開通で都市部の本数が多いのは前述の通りですが、小田急の凄いところはローカル区間でも本数が多い点。

例えば、新宿駅から65.6キロ離れた丹沢の山中にある渋沢駅には、10両編成の電車が日中でも10分間隔でやってきます。

これは厚木や秦野、小田原といった企業の集積する中規模都市が末端区間にも多く存在するためで、旺盛な需要に支えられているのでローカル区間でも利便性が落ちることはありません。

都市の利便性そのままに、憧れの田舎暮らしを実現できてしまうのも小田急沿線の魅力なのではないでしょうか。

特急のバリエーションが豊か

小田急線と言えば箱根へ向かう特急ロマンスカー「はこね号」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。旅欲をそそられる小田急のCMを見て、首都圏の方なら誰でも一度はロマンスカーで箱根に行ってみたいと思ったことがあるはずです。

最新の70000形には展望席も

「はこね号」はもちろん小田急ロマンスカーを代表する列車ではあるのですが、小田急線には「はこね号」を補完する様々な特急列車が走っているのをご存知でしょうか。

スーパーはこね号新宿-小田原間をノンストップで走る、箱根観光に特化した列車。
はこね号箱根湯本発着で、途中駅にも停まる列車。
さがみ号小田原発着で、沿線の都市間輸送を目的とした列車。
えのしま号江ノ島線に直通する、江ノ島観光に使える列車。
ふじさん号JR御殿場線に直通する、富士山観光に使える列車。
メトロはこね号北千住発着で、地下鉄千代田線を経由して箱根に向かう列車。
メトロえのしま号北千住発着で、地下鉄千代田線を経由して江の島に向かう列車。
モーニングウェイ号朝ラッシュ時の上りに設定された通勤用の特急列車。
ホームウェイ号夕ラッシュ時の下りに設定された帰宅用の特急列車。
メトロモーニングウェイ号朝ラッシュ時の上りに設定された、地下鉄千代田線に直通する通勤用の特急列車。
メトロホームウェイ号夕ラッシュ時の下りに設定された、地下鉄千代田線からの帰宅用の特急列車。

その勢力範囲は東は北千住、西は御殿場まで及んでいて、どこでも快適な座席指定サービスを受けることができます。どこに出かけるにも便利なので、小田急沿線に住めば自然と乗る機会が多くなるはずです。

ロマンスカーの車両形式については小田急電鉄の公式ホームページをご覧ください。

住環境が良い

小田急沿線には成城学園前や鵠沼のような高級住宅街、新百合ヶ丘や多摩センターなどのニュータウン、海老名の高層マンション群など、住環境に優れた街が数多く存在します。

全体的に落ち着いていて、東急沿線ほど奇をてらっていないのが特徴。

山の麓(本厚木-新松田)や海辺(小田原、藤沢-片瀬江ノ島)に住みながら、都市部と変わらない便利な生活ができるのも小田急ならではなのではないでしょうか。

家賃が安め

東京都内は高級住宅地が多く、やや高めの家賃相場なのですが、多摩川を渡り神奈川県内に入るとグッと安くなります。

家賃を抑えたい方に特におすすめなのが、生田、読売ランド前、百合ヶ丘の三駅。

その相場は都心から30分圏内とは思えないほど破格な上に、緑豊かで住環境も良いのが素晴らしいところ。単身の方にも家族連れの方にも自信を持っておすすめできます。

電車が静か

小田急の車両は全密閉モーターという騒音対策を施した特殊なモーターを使っているので、走行音が他社の車両に比べて静かです。

これは一回きりの利用では気づかないほどの差なのですが、線路沿いに住んでいたり、毎日利用していたりすると自ずと気づくことになるでしょう。

他社線から小田急線に乗り継ぐ機会があれば、ちょっと意識してみてください。意識さえすれば誰でも気づけるはずです。

沿線に観光地と自然が多い

小田急沿線に住む最高のメリットは、なんといっても箱根江ノ島大山、富士山などの日本を代表する観光地に気軽にアクセスできること。

「旅行」というより「気晴らし」感覚でそれらの観光地に行けてしまうので、小田急沿線に住めば週末は必然的に充実します。

「箱根フリーパス」や「江の島・鎌倉フリーパス」「丹沢・大山フリーパス」など、小田急線の往復と現地の交通機関がセットになったお得な切符が充実しているのもうれしいところ。

詳しいことは小田急電鉄公式ホームページをご覧ください。

デメリットは?

複々線の開通により、激しい混雑や日常的な遅れなど、それまで小田急線が抱えていたデメリットは解消されつつあります。

いま小田急沿線が抱える最も大きなデメリットは、ずばり横浜が遠いことでしょう。小田急沿線から横浜へ向かうには海老名から相鉄線か、町田から横浜線で30分近くかかります。

2030年には横浜市営地下鉄が新百合ヶ丘に乗り入れるとされていますが、それでも横浜市中心部まではかなりの距離があります。

なので横浜が好きな方は他路線を選択したほうがよさそうです。

この記事を書いた人

『TRANS JOURNAL』編集者なり。神奈川県出身。京都外国語大学外国語学部卒。在学中に上海師範大学に留学。卒業後は製紙会社などに勤務。翻訳もたまに。ここでは興味の赴くままに、イギリス帝国や中国に関する記事を執筆。