パックフィッシャー、それは、一本のモバイルロッドに全てを託した至高の釣り人。愛用のトラギアを片手に、日本全国、いや世界を釣って回ります。目指すはモバイルロッドの釣り図鑑?身近な水辺で繰り広げられる、ポケモンGOさながらの冒険をお楽しみください。
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釣れない季節と言うけれど
冬は海水温の低下で魚が深場に落ちる時期。夏場、多くの魚で賑わっていた海辺も生き物の気配すら無くなります。
冬場、魚が深場に落ちてしまう理由は二つ。一つは、魚は変温動物なので、冷たい表層の海水温に耐えられなくなるから。深場は気温低下の影響を受けにくいので、魚たちはそこで冬を越すのです。
二つめは、魚の餌となるプランクトンが深場に落ちてしまうから。プランクトンが深場に落ちれば、それを食べる水生生物や小魚、そしてそれらを食べる大型魚までが餌を追って深場に落ちてしまうのです。
この理論を正面から受け止めると、魚が居ないので冬に釣りをしても全く無意味ということ。なので賢いあなたなら、11月で釣りを切り上げてしまうのが最も賢明な選択だということに気付くはずです。
しかし!!
寝ても覚めても、冬でも魚が居なくても、寒くて凍えても、釣りに行きたくなってしまうのが釣りキチの性というもの。浅場に魚が居ないのなら、やれどうにかして深場を狙えばまだチャンスはあるのではないか。
そんな単純極まりない発想のもと編み出されたのが、今冬の新釣法、駿河湾深海ちょい投げ。
沼津や西伊豆を中心とする駿河湾は、その地形から岸から数十メートルの範囲でも急深となっている場合が多く、漁港からのちょい投げでも水深40mの深場を探ることができたりします。
ならばそこを、魚たちの秘密の楽園を、狙ってみようではありませんか。ひと冬かけた検証が今日、始まります。
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多比港編
午前11時、記念すべき一回目の検証地に選んだのは沼津の多比港。ここは磯場の上に造られた漁港なので一見浅いのですが、江浦湾に突き出た堤防より口野方面へ遠投すると水深20mの深場を狙うことができます。
開始一投目、アタリも分からぬまま仕掛けを回収してみると、なにやらついている模様。深場狙いの場合、魚が小さいとアタリが出ないことはよくあります。
天秤がカケアガリに当たらぬようにゴリ巻きすると、上がってきたのはこの前三崎港でも釣った#23 トラギスでした。
11:13(GMT+9)
前回釣ったトラギスの干物がとても美味しかったので迷わずキープ。外道と言えど、本命シロギスよりも美味しいかもしれません。
この後、なんと同じ場所でトラギスが5連発。多比港はトラギスの巣になっているようです。
12:43(GMT+9)
そして毎度お馴染みこのお方も。水深20m以上の深場から急激に釣り上げたため、水圧の差で脱腸しています。
脱腸してしまった個体はリリースしても死んでしまうため、ベラでも持ち帰って食べるのがせめてものつぐないです。
そして岩場の上に造られたこの港の最大の欠点は、カケアガリがきつすぎること。回収中に少しでも油断すると、仕掛けを天秤ごとロストする事故が多発します。
今日はわずか1時間で4個の天秤をロスト。このままだと経済的に大変よろしくないので、そそくさと移動することに。
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静浦漁港編
続いてやってきたのは釣りキチの基地こと静浦漁港です。T字型の堤防はそのまま外洋に面しているので潮通しはピカ一。
おまけにその水深は30m以上に達し、普段岸からは釣れない魚が釣れる魔界のような釣り場となっています。
ひょっとしたらアマダイやイトヨリダイなど、冬の宇和海で釣れるような魚が釣れてしまうかもしれません。
14:23(GMT+9)
開始一投目、エサ確認のため仕掛けを回収しようとすると、ズシっと重みが乗りました。どんな魚が掛かるか分からない水深なので、緊張してしまいます。
魚は特に潜るわけでもなく、横に走るわけでもなく、案外すんなり上がってきてくれました。見えたのはおでこの広い赤い魚。まさかのアマダイか。
14:32(GMT+9)
そんなまさかの#31 イラでした。
イラは沿海性の魚なのですが、普段は水深30-150mの深場に生息しているため、堤防からのちょい投げで釣れることはほぼないでしょう。船カワハギや船アマダイの外道なので、船釣りによく行く方はご存知かと思います。
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15:26(GMT+9)
ほどなくしてサイズアップ。1匹目と違い、アタリも引きも明確でした。
ちなみに、「イラ」の語源は動詞の「イライラする」から。漁師が水中で捕まえようとすると不貞腐れた様子で噛みつきにくることからイラという名前になったそうです。
確かによく見ると目が血走ってますよね。
そしてショックなことに、イラも実はベラ科の魚。結局自分はどこへ行ってもベラしか釣れないのかもしれません。
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