言葉を選ぶということ 日本語を書く難しさはここに

文章を書いていると、書きたいことを適切に表現することがいかに難しいのかを実感させられます。ここでいう適切に表現することとは、自分の頭の中にある書きたいことのイメージを、適切な語彙を使い、適切な言い回しで文章に書き起こしてゆくこと。それが下手くそだと、文章はたちまち生気を失ってしまいます。

日本語の表現には大抵の場合、類語がありますよね。同じような意味でも、成り立ちの違う多くの言葉が存在するのです。たとえば、「機械」と「機器」、それから「マシーン」。どれも同じような意味の言葉ですが、ニュアンスはどれも違いますし、それぞれに適切な使い方があります。

自分なりの解釈ですが、「機械」は仕掛けやからくりにによってある目的のために動作するもの。「機器」は設備の中にある器具・機械類の総称です。そして「マシーン」は直訳すると”機械”ですが、外来語として日本語化された「マシーン」にはどこか超人的な響きがあり、人間には成し遂げられないことをいとも簡単にやってのけてしまうもの、という含みがあります。



形容詞だと、「きれい」と「美しい」のニュアンスも違いますね。「きれい」は単純に見た目が整っていて、ややさっぱりしている様子を表しますが、「美しい」にはもっと麗らかで幻想的なイメージが入ってきます。動詞だと、「思いつく」と「ひらめく」。「思いつく」はちょっとした工夫や解決策だったりが、やや考えた後に見つかった感じでしょうか。「ひらめく」は瞬間的に良いアイディアが頭に浮かび、それによって事態が明るい方向に動きそうなイメージです。

文章を書くときに、それら一語一語のニュアンスをしっかりと吟味して言葉を選べば、自身が表現したいことをより的確な語感で体現することができるのではないでしょうか。語彙が豊富なほうが使える言葉の選択肢が増えるので、日頃から意識して言葉を覚えるといいでしょう。文章を読むときには、書き手が何故その単語を選んで書いたのか、想像しながら読み進めてみると言葉選びのトレーニングになりそうです。

偉そうなことを書きましたが、私の文章もまだまだ下手な部類なのではないでしょうか。過去の記事を読んでいただければわかると思いますが、言葉選びが上手だとはお世辞にも言えませんよね。釣りの記事はシンプルにまとめたほうが伝わるので、今のままでも問題ないのですが、旅の記事はまだまだ下手くそです。最近練習がてら四川旅行の記事を書いてみたのですが、現地で感じ取った旅情や雰囲気をリアルに描写することができず、何度も絶望しました。使える言葉と言い回しの幅が狭いので、情緒を豊かに表現できていないのです。

対策として、私は暫く小説を読むことにしました。どんな小説にも情景や心情の描写が出てきますが、そこで作家の先生方がその言葉を選んだ理由を真剣に考えてみようと思います。



この記事を書いた人

『TRANS JOURNAL』編集者なり。神奈川県出身。京都外国語大学外国語学部卒。在学中に上海師範大学に留学。卒業後は製紙会社などに勤務。翻訳もたまに。ここでは興味の赴くままに、イギリス帝国や中国に関する記事を執筆。